昨日、広島市内で開催された「第3回 子育てシンポジウム」に講師の一人として登壇させていただきました。
テーマは「未来へ生きる力を育むためのコツ」。
各方面で活躍中の講師が順に登壇し、それぞれの経験と専門知識に基づいた深く、人情味に溢れるお話をされ、参加者の皆様は熱心に耳を傾けておられました。
私は「生きる力」とはなにか? それは「どう育まれる」のか?を切り口にお話をさせていただきました。
本記事では、
「生きる力」とは何か
「生きる力」をどう育むのか
親や周りの大人の役割・行動について
についてコーチングの観点から私が話した内容をまとめてみました。
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生きる力とは
「生きる力」は”変化”、人が”変わりたい”と思う気持ちを源に生まれます。
子供も大人も「生きる力」を手に入れるためには、まず「未来に自分はこうなりたい、こいう世界を作りたいという強い願い」が必要です。
現在、人間がしている仕事・労働の大部分は近い将来AI(人口知能)/ロボットに置き換わります。
医療の分野では、遺伝子治療等の研究がますます進み、平均寿命がさらに伸びると予想されています。
人工知能のさらなる研究や、最先端の医療研究など、新しい産業分野とニーズも生まれますが、高度な知識と財源の両方が必要であり、それらを合わせ持つ持つ少数の人たちによって独占化が一層進むと一考えられています。
世界の多くの人達の間で、生きるために最低限に必要な労働の為の時間が短縮され、自由な時間が増え、物質的にはより”豊かに”なるでしょう。
その一方で「自分は何のために生きるのか?」という「生きるための意義」への”欠乏感”を強め、苦しむ人が増えることでしょう。
「欠乏感」からくる苦しみは恐ろしいのですが、さらに恐ろしいのは「何のために生きるのか?」という疑問さえ思い浮かばないことです。
何のために生きるのかという疑問が浮かばなければ、当然「未来に自分はこうなりたい、こいう世界を作りたいと願う」気持ちはありません。
生きてはいるけど、「生きる力」があるのではなく、ただなんとなく生きているだけ。運が悪ければ、誰かの利益を生むために、意図的に生かされている状態です。
私たちは私たちの子供に、ただなんとなく生きたり、誰かに搾取される為に生かされる人生を送ってほしいはずはありません。
生きる力は誰のものか
もう一つ重要なことは「生きる力」が”誰のものか”という問題です。
いうまでもなく「生きる力」のオーナーは”自分”であり、自分がが心から望む生きる目的」に対して向けられたもののはずです。
「未来に自分はこうなりたい、「こいう世界を作りたいと願う」気持ちは人一倍あっても、もしそれらが他人から植え付けらえたものであるならば、それは自分の人生を生きていることにはならないはずだからです。
「”オーナー自分の”生きる力」を育む
では「”オーナー自分の”生きる力」を育む為に、「生きる力」がどこから生まれるか? それが自分自身のものであるためには? と親や大人の役割・行動について見ていきます。
「生きる力」はどこから生まれる?
この記事の最初でも書きましたが、”変化”、つまり現状と「未来に自分はこうなりたい、こいう世界を作りたい」とのギャップに生まれます。
ギャップが大きく「そのギャップを解消することができる自分の能力に対する自信」がしっかりと持っていれば「生きる力」はより大きくなります。
運動ホルモンの一種であるドーパミンが脳内で放出され、いきいきと活力に満ちている状態です。
自分自身のものであるためには
それは”ココロ(心と脳)”にあるものです。 ほとんどが子供時代の経験がら、固定的な”考え方の癖”として形成されさます。
コーチング用語ではそれを「ブリーフシステム」と呼びます。 物事に関する考え方のくせ、信念、の集まりのようなものです。
「ブリーフシステム」が自分の未来は自分で決めるもの、決めたいと判断すれば「オーナー自分の生きる力」になります。
親や大人の役割について
子供たちは「ブリーフシステム」を特に親、先生など子供たちのまわりの大人からコピーしながら育ちます。
なので、親や先生などの大人は子供たちの”ココロ”に「生きる目的を達成することのできる自分の能力に対する自信」たっぷりのブリーフシステムが育つよう接する必要があります。
より具体的な接し方としては、
- 子供の能力を信じ、信じていると声をかける、
- 子供の能力がさらに広がるよう、誉め言葉や励ましなどを通じて働きかける
- 夢・未来、やりたいと思っていることを否定しない
- 親(や先生など)自身が夢・目標を持ち、いきいきと生きる姿を子供に見せる
- もし、他人を傷つけたり、他人の自己責任能力を下げる(ことで自己肯定感を維持する)行動等があれば、本人へ注意し、理由も伝え、それらに対して以後どのようにしたいかを子供に考えさせる(一緒になって考える)
ことが挙げられます。
子供たちの”ココロ”に「自分の能力に対する自信・希望」が十分に増えれば、未来に描く自分と、つくりたい世界の姿はさらに大きく、イメージしやすくなります。
同時に、自分で考え、望む世界の実現に向け主体性を持って生きるのだという自己責任感も育ちます。
子供が自分の能力に自信を持ては、本人が心から達成したい目標と世界へ進むために必要な勉強やトレーニング方法などは自分で探すようになります。まるで好きなTVゲームの攻略法を寝るる時間を削ってでも探すようにです(笑)
他人から見ると努力に見えることも、本人にとっては全てやりたくてやっていることになります。
最後に
どうでしょう、未来に対して「生きる力」を育むコツ。。。
それは、親や周りの大人が子供たちにあれこれ自分たちの既存の知識や価値観を伝えようとするのでは決してありません。
そもそも、何がおこるか、何が重要になりうるかが、ますます予想し得ない未来の世界なのに、子供たちから自分で判断して前に進む力を奪いたくはないですよね?
私たち大人に必要なのは、科学に基づいた正しいやり方で、子供たちに愛情をたっぷりとそそいであげることではないでしょうか。
以上です