✔読者の悩み
- 「質問力」はコーチングスキルとはなのか?
- スキルだけではコーチングが役に立たないのはなぜか?
- 一生使える本物のコーチングスキルを磨くにはどうすればいいか?
こういった疑問にお答えします。
✔本記事の内容
- 「質問力」はコーチングスキルなのか?についてお答えします。
- スキルだけではコーチングが役立たない理由と、解決の為のアプローチ法
- 一生使える本物のコーチングスキルを身につける方法
✔著者の経験
この記事を書いている私は、
1.プロコーチ歴5年
2.トレーナー歴15年
こういった私が解説していきます。
1.「質問力」はコーチングスキルなのか?についてお答えします
その①スキルとされているもの
企業や学校などでコーチングを学んだという方に「学んだコーチングのスキルとはどのようなものですか?」と聞いてみると、
質問(力)
傾聴(力)、
評価・承認(力)
合意を引き出す力
といった答えが返ってくることが多いように思います。
これは、一般的に教えれられているコーチングが、なんらかのはっきりとした目的(利益を上げるなど)を共有する組織の中で、
「相手の能力や、やる気を引き出だし」
「自分の頭で物事で考え」
「行動する能力を見につけさせる」
為に使われるものとして導入されるケースが多く、組織のリーダーやメンバーが備えるべき資質の一つとして捉えられていることを考えると納得がいきます。
ということは「質問(力)」「傾聴(力)」「評価・承認(力)」「合意を引き出す力」は、全てコーチングのスキル(のうちの一部と)言えるでしょう。
その②コーチングの枠組みをどう捉えるかによりスキルも違う
コーチングを主催している団体や組織が、コーチングをどのような枠組みで捉えているかでスキルと呼ぶものも違ってきます。
コーチングの枠組みとは、コーチング対象と対象が何を得ることを期待するかです。
コーチングの対象が、”自分”なのか(=セルフコーチング)、”他者”なのか、”他者”であっても”個人”なのか、企業などの”組織とそのメンバー”に対する(=コーポレートコーチング)のかなど、さまざまです。
コーチングを実践し、役立てる機会は私たちの人生のあらゆる局面に広がっています。
「これが正しいスキル」や「このスキルさえ覚えていけば効果が出る」と固定して考えるのは、学ぶ範囲が明確になり、学習の進捗状況を確認する目的ではわかり易いかもしれません。
しかし、そこにこだわりすぎると、コーチングが持つ可能性を狭めてしまうということも覚えおいてください。
その③他にどのようなスキルがあるか?
では、コーチングを人生のあらゆる場面で、様々な相手に実戦的に役立てるという観点でとらえた場合、他にどのようなものがコーチングのスキルになるのでしょうか?
私のスタイルである苫米地式コーチングから考えてみます(ここから少し難しい言葉を使いますが、言葉の意味は覚えなくても大丈夫です)。
苫米地式コーチングは、欧米の心理学者、コーチを中心に開発され、軍のエリート特殊部隊や政府機関、トップ企業にも導入・採用され、世界で毎年200万人以上が受講する自己啓発プログラムに、最新の認知科学の知見を組み合わせたコーチングです。
苫米地式コーチングではコーチングの定義を「相手のエフィカシーを上げてゴールの達成に導く」
としています。
・対象は「相手」
・相手が期待するものは「ゴールの達成」
ととても広い枠組みですね(笑)。
「ゴール」は、職業やファイナンスに関することだけでなく、趣味や勉強、子育て、家族関係、心身の健康、地域への貢献、社会への貢献など、できるだけたくさんのサブゴールを包摂して設定します。
サブゴールの内容は一人一人全く違います。どんどん更新もします。
エフィカシーのレベルも人それぞれです。
最初から全ての面で高めの人いれば、過去の記憶や体験、周りの環境などが原因で、自分一人のやり方ではどうしても高く持てない方もいます。
そのような相手に対しコーチとして接する為には、
- 相手のエフィカシーに対して言語と非言語で働きかける
- 心から本当に達成したいことを引き出し、ゴールとして設定し、更新する
- 相手とラポールを構築しコーチとしての役割を行える
- 言葉には現れない相手のマインドの動きを観察し、適切なタイミングで適切な方法で介入する
- 相手と直接対面、対話していない時間でも、相手が自分のゴールに向けて24時間集中できる働きかけをする
など、奥の深いスキルがたくさん必要となります。
もちろんこういったスキルと呼ぶものの他に、”心と脳”の使い方や、認知科学に関する知識なども必要です。
これらの知識については次の章で少し具体例を考えてみます。
2.コーチングスキルだけではコーチングが役に立たない理由
繰り返しになりますが、コーチングを主催している団体や組織がコーチングをどのような背景と枠組みで捉えているかによって、必要とされるスキルは違ってきます。
実際の現場では、枠組み外の状況も入ってくることが多く、コーチングスキルの効果が出にくくなる場合があります。
同じコーチングの講義や書籍で学び、全員が協力的にロールプレイに参加している間は「このスキルすごく使えそう!」と思えるのですが、実際の場ではどうもうまくいかないという現象が起きます。
では、せっかく学んだスキルが役に立たないのでしょうか?
そんなことはありません。
コーチングの効果がなかなか出ないという場合は、スキルにこだわれず、視界を広げて、ブレーキ要因になっているものを探してみましょう。
ブレーキ要因を分析し、そこに他する対応をしながら、学んだコーチングスキルを使っていくことで、一気に根本的な解決につながることがあります。
ほんの一例ですが、ブレーキ要因と、取りうる対応を組織内の個人メンバーに対する(上司→部下)コーチングの例を挙げておきます。
ブレーキ① マインドの性質を考慮していない。
人は本来、現状維持を好み、リスクを伴う変化を嫌う性質の生き物です。
その為、変化に繋がる「質問」「傾聴」「評価」などをされても、無意識レベルで何かを仕掛けられていると感じ取り、抵抗が生まれます。
対応→ マインドの性質の理解。相手の”コンフォートゾーン”はどこにあるか。
ブレーキ② ゴールの設定と共有がきちんとされていない
そもそも一般的に教えれられているコーチングが「相手や組織に属するメンバーのやる気を引き出だし、自分の頭で物事で考え、行動する能力を見につけさせる」である限り、そこには組織や上司の一方的な都合(ゴール)を相手のゴールにおしつけている可能性をもっています。
お互いのゴールが違っていればコーチングは効きません。
対応1→ 現状の外にある個人のゴールと、組織・上司のゴールが部分的に共有できているかを確認する。
対応2→ 個人と上司のそれぞれで自己責任感(自分でリードするんだ)やエフィカシー(自分にはそれを成し遂げる能力があるんだ)が不足していないかを見直す。
ブレーキ③ コーチングをする側とされる側の間に信頼関係が築けていない
上司の普段の言動がネガティブであったり、組織の人事考察の基準が、”どれだけ失敗が少なかったか”を重視しているなど、組織のカルチャーが、コーチングで期待される行動(現状を大きく変える為にリスクをとって新しいことにチャレンジしよう)と乖離している場合はコーチングの効果は出ません。
そのような上司と組織メンバーの間のコーチングは建前だけの”コーチングごっこ”になってしまいます。
対応→ 組織のビジョン/カルチャーと査定方法の間に一貫性があるか? コーチングごっこを演じてていないか? 必要であれば組織のビジョン、カルチャー、査定方法から見直す。
3.本物のコーチングスキルを身につける方法
いろいろ難しそうなことを書きましたが、最後に本物のコーチングスキルを身につける方法を紹介します。
それは一言でいうなら”自分自身が普段からコーチであることを心がける”です。
具体的には常に以下を心から楽しんで実行することです。
- 自分の立場、意見を相手に押し付けない
- 自己責任感を強く持っている、他者のせいにしない
- ゴールに向かってチャレンジしている
- 本人のエフィカシーも高く、接する人のエフィカシーも上げている
- 未来志向でありポジティブである
まずはコーチ自身の生き方が輝いていることが大切です!
まとめ
今回はコーチングのスキルに対する考え方、スキルを実際に役立てる方法、これから本当のスキルを身につける方法をまとめてました。
以上です
さらに深くコーチングについて知りたい方は、書籍等を参考にするのがおススメです。